RPE(自覚的運動強度)

RPE計算機
はじめに:RPEとは?
トレーニングにおいて「今日はなんとなく重く感じた」「いつもより楽だった」といった感覚は、誰でも経験したことがあるはずです。
このような主観的な「きつさ」や疲労度を数値で表したものが、RPE(Rate of Perceived Exertion)=自覚的運動強度です。
RPEはもともと、運動生理学の分野で心拍数や呼吸数の目安として使われてきた指標です。
近年では、筋力トレーニングやパワーリフティング、アスリートの競技力向上のために広く応用されるようになりました。
特に有名なのが、アメリカのパワーリフター Mike Tuchschererが提唱した
「Reps In Reserve(RIR=残り何回できそうか)」に基づくRPEスケールです。
この方式では、「あと何回できたか」を基準にRPEを決めるため、筋トレ初心者でも比較的イメージしやすくなっています。
例
- 「もう1回ギリギリできそうだった」→ RPE9
- 「限界でこれ以上できない」→ RPE10
- 「3回くらい余裕あった」→ RPE7
従来の「○kg × ○回 = 負荷の調整」だけでは見えづらかった
「その日の調子」「疲労」「余裕度」といった要素も、
RPEを導入することでより柔軟にトレーニングに反映できるようになります。
このようにRPEは、感覚と数値をつなぐ“ブリッジ”のような役割を持つ、とても便利な指標です。
次のセクションでは、具体的に「RPEの数値がどんな意味を持つのか」を見ていきましょう。
RPEの数値と主観的な「きつさ」の関係
RPEは0〜10のスケールで表されることが多いですが、筋トレにおけるRPEは6.0〜10.0の範囲が主に使われます。 特に近年では、「あと何回できたか(Reps In Reserve / RIR)」をベースにRPEを判断する方法が広まり、 より具体的かつ実用的な運用が可能になっています。
以下はRIRベースのRPEスケールです。各RPEがどれくらいの「余力」を示しているのかがひと目で分かります。
RPE | 残り回数(RIR) | 主観的なきつさの目安 |
---|---|---|
10.0 | 0回 | 限界。これ以上は1回もできない |
9.5 | 1回未満 | ほぼ限界。もう1回できるかどうか微妙 |
9.0 | 1回 | まだ1回はいける。やや限界に近い |
8.0 | 2回 | やや余裕あり。フォームも安定 |
7.0 | 3回 | かなり余裕あり。まだ余力を残している |
6.0 | 4回以上 | 軽く感じる。ウォームアップや技術練習向き |
このようにRPEスケールは、ただの「感覚」ではなく、残りの回数という明確な指標に基づいているため、 トレーニングの再現性・客観性を高めることができます。
自分の「感覚」と実際の動きを擦り合わせることで、より精度の高い強度管理が可能になります。 次は、RPEを使うと何が良いのか、どんな場面で活用できるのかを解説します。
RPEのメリットと活用シーン
RPEを取り入れることで、トレーニングの柔軟性・再現性・安全性が大きく向上します。 固定されたプログラム通りに進めるのではなく、「その日の自分の状態に合わせて負荷を調整できる」のが、RPEの最大の強みです。
✔ RPEを活用するメリット
- 体調や疲労度に応じて負荷を調整できる
無理なオーバーロードを避け、回復も考慮したトレーニング設計が可能 - トレーニングの質を数値で記録できる
「今日はRPE8で5回できた」など、主観を数値化してログに残せる - ケガのリスクを減らせる
その日の調子が悪い時はRPEをもとに強度を下げ、無理をしない判断がしやすい - オートレギュレーション(自己調整型)トレーニングができる
決められた数値ではなく、「いまの自分」に合った最適な強度を選べる - 初心者から上級者まで幅広く使える
RPEは個人のレベルや目的に関係なく応用可能
📌 どんなシーンで役立つ?
- 疲労が残っていて100%の重量が扱えない日
RPEで強度を微調整することで、安全に継続できる - 調子が良くてフォームも安定している日
本来の予定よりも少し高めの強度に設定することで効率的な進歩が可能 - 初心者のフォーム習得時
重すぎず、軽すぎず、ちょうど良い強度をRPE7前後でコントロール - 筋力・筋肥大どちらにも対応したい時
目的に応じてRPEの使い分けができる(次章で詳しく解説)
このようにRPEは、数字だけに頼らない「感覚×数値」のトレーニング設計を可能にします。 次は、RPEを目的別にどのように使い分けるか、具体例を紹介していきます。
RPEを活用したトレーニングの具体例
RPEは「感覚的なきつさ」を数値化する指標ですが、それをどのように活用するかは目的によって異なります。 筋肥大、筋力向上、回復や技術練習など、それぞれに適したRPEの使いどころがあります。
📌 筋肥大(ボディメイク・増量)目的
- 推奨RPE:6.5〜8.5
- 理由:適度な疲労とボリューム(総負荷量)を確保できる
- 活用例:ベンチプレス 80kg × 8回(RPE7.5)を3セット
📌 筋力向上(最大重量・1RMを高めたい)目的
- 推奨RPE:8.5〜9.5
- 理由:より高強度の刺激で神経系の動員を促進
- 活用例:スクワット 120kg × 3回(RPE9)で技術練習
📌 テクニック練習・回復目的
- 推奨RPE:6.0〜7.0
- 理由:動作の確認・フォーム修正、疲労軽減が目的
- 活用例:デッドリフト 100kg × 5回(RPE6.5)で丁寧に
💡 RPE別の使用イメージ早見表
目的 | 推奨RPE | 特徴 |
---|---|---|
筋肥大(ボディメイク) | 6.5〜8.5 | ボリュームとフォーム重視 |
筋力向上(RM狙い) | 8.5〜9.5 | 高重量で神経系の活性化 |
回復・フォーム練習 | 6.0〜7.0 | 低負荷・動作の確認 |
RPEをうまく使い分けることで、「ただ漠然と重い物を持つ」から「狙いを持って鍛える」トレーニングへと変化します。
では、このRPEと「1RM(1回の最大挙上重量)」の関係はどうなっているのでしょうか?
次の章では、RPEをもとに推定1RMを導き出す方法と、それを活用するツールをご紹介します。
RPEと1RMの関係性
トレーニングでよく使われる指標のひとつに1RMがあります。これは「1回だけ持ち上げられる最大の重量」を意味します。 通常、1RMは実際に限界まで試して計測する方法がとられますが、安全面や疲労管理の観点から、毎回の測定は非現実的です。
そこで活用できるのがRPEを用いた“推定1RM”の算出
🧮 推定1RMの基本式
推定1RM = 実際の重量 ÷ RPE係数
係数(%1RM)は、回数とRPEの組み合わせによって変化します。
例えば10回 × RPE8の場合、その係数は約0.726(≒72.6%)となり、 100kg ÷ 0.726 ≒ 137.8kg が推定1RMとなります。
このように、RPEと回数のデータを活用することで、日々の調子を反映した「今の最大挙上能力」を算出できるのがRPEの強みです。
📊 あなたの推定1RMとRPEチャートを今すぐ確認!
記事冒頭のツールでは、あなたの「重量・回数・RPE」の入力に応じて、推定1RMと RPE別の負荷(Load)早見表を自動で生成します。 タブを切り替えることで、1〜12回の各Repに対応したチャートが確認できます。
表示される「%1RM」や「Load」は、国際的に用いられている最新の係数に基づいて計算されています。 フォームの安定性や疲労具合を考慮しながら、無理のない強度設定に役立ててください。
RPEを活用するうえでの注意点
RPEは非常に柔軟かつ有効なツールですが、主観的な指標である以上、いくつかの注意点もあります。 特に初心者や経験の浅いトレーニーにとっては、最初は「自分の感覚」と「実際の負荷」がずれることもあります。
⚠ よくある誤解・落とし穴
- 「感覚だけで適当に決めてしまう」
→ RPEは主観ですが、あくまでロジカルなガイドライン。慣れるまでは記録と照らし合わせが重要です。 - 「余力がある=フォームも良い」と誤解する
→ 実際はフォームが崩れていても「まだいける」と感じてしまうケースも。鏡や動画で客観視を。 - 「頑張りすぎ=良いRPE」と考えてしまう
→ 毎回RPE10で追い込むのは非効率。目的ごとに適切なRPEゾーンを設定するのが大切です。
✅ 感覚の精度を高める工夫
- セットごとの動画撮影でフォームと動作速度を確認
- 毎回のトレーニングで重量・回数・RPEを記録
- 「今日は調子が良かった/悪かった」といった主観メモも一緒に残す
また、RPEの感じ方には個人差があります。
同じRPE8でも「ややキツイ」と感じる人もいれば「余裕がある」と感じる人もいます。
経験を積むことで、主観と実際の動作の精度は次第に一致していきます。
RPEは「正解が1つに決まっているもの」ではなく、自分の状態に向き合いながら精度を高めていくツールです。 長期的に活用していくことで、よりパーソナルで安全性の高いトレーニング設計ができるようになります。
よくある質問
まとめ:RPEを正しく使って、賢く鍛える
RPEは「感覚」と「データ」をつなぐ、非常に優れたトレーニング管理ツールです。
自分のその日の調子、疲労、フォームの安定性などを加味しながら、無理なく・効率的に・継続できるプログラム設計が可能になります。
特に次のような方には、RPEの導入が強くおすすめです。
- 毎回のトレーニングで調子にバラつきがある
- 数値だけに頼らない、自分に合った負荷を知りたい
- ケガを防ぎつつ、長期的に成長したい
- 目的(筋肥大・筋力アップ)に応じて柔軟に負荷設定したい
この記事で紹介したRPEスケールとツールを使えば、今の自分の強度を把握し、 トレーニング効果を高めることができます。
「RPEを味方につけて、もっと賢く、もっと効率よく鍛えていきましょう!」
ぜひ、このページにあるRPE計算ツールも活用しながら、日々のトレーニングに役立ててみてください。

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