ホームジムに適したバーベルの選び方

バーベルとは

バーベルとは上記のような金属製の棒状の重りのことです。
両側にウエイトプレートを装着することで重量を調整できるようになっています。
バーベルとトレーニングラック・ベンチさえあればBIG3(スクワット・ベンチプレス・デッドリフト)をはじめとした数多くのトレーニング種目が可能となります。
バーベル種目は身体を鍛える上で非常に効率が良く、昔から現在に至るまで不動の主役です。
日本のジム・スポーツクラブでは未だにバーベルを取り扱っていない所もありますが、ホームジムを作るなら絶対に導入することをおすすめします。
バーベルでできる種目
- スクワット ※トレーニングラックと組み合わせて
- ベンチプレス ※トレーニングラック・ベンチと組み合わせて
- デッドリフト
- シュラッグ
- ベントオーバーローイング
- ランジ
- フロントプレス
- クイックリフト各種
- その他多数
バーベルの種類
※画像クリックで詳細に飛べます
スタンダードシャフト | オリンピックシャフト | |
---|---|---|
シャフトの太さ | 28㎜ | 28~29㎜ |
スリーブの太さ | 28㎜ | 50㎜ |
対応プレート | 穴の直径28㎜ | 穴の直径50㎜ |
長さ | 短めのものが多い | 主に220㎝ |
重さ | 10kg前後 | 主に20kg |
耐荷重量 | 低いものが多い | 数百kg |
価格 | 安いものが多い | 数万円~十数万円 |
上記2つはストレートなバーベルですが、その他にもEZバーやヘックスバー、トライセプスバーなど様々な形状のバーベルがあります。
当ページでは最も一般的で使用頻度が多く用途も幅広いストレートなバーベルを解説していきます。
まずはストレートなバーベルを導入し、必要に応じて他のバーベルを追加していくと良いでしょう。
バーベルの各部位の名称

名称 | 部位 |
---|---|
シャフト | 内側の握る部分 |
スリーブ | 外側のウエイトプレートを装着する部分 |
インナーカラー | シャフトとスリーブを仕切る部分 |
ローレット | シャフトの中でもギザギザしている滑り止め部分 |
センターローレット | 中央のローレット |
グリップマーク | グリップ幅の目印になるマーク |
バーベルによってシャフト部分の長さやローレットの位置・滑り止めの強さが違います。
これらは直接的にトレーニングフォームへ影響を与えます。
またスリーブ部分の太さによって、装着できるウエイトプレートの穴の直径が変わります。
スタンダードシャフトの特徴
メリット・デメリット

メリット
- 安価
- 短いものなど長さが様々
デメリット
- 強度が低いものが多い
- 短い物が多くトレーニングラックに合わない場合がある
- 品質が悪いものが多い
スタンダードシャフトは通称「スタシャ」と呼ばれています。
シャフト部分もスリーブ部分も細くなっており、ウエイトプレートもそれに合った穴の直径が小さいプレートを使用します。
安価ですが細いため強度が低いものが多く、シャフト部分が短いためラックによっては使用できない場合があります。
オリンピックシャフトの特徴
メリット・デメリット

メリット
- 用途によって種類が様々
- 強度が高い物が多い
- 高重量のトレーニングが可能
デメリット
- 高価
- 長いものが多く狭い場所では扱いにくい
オリンピックシャフトはスタンダードシャフトと違い、スリーブ部分が太くなっています。
そのためウエイトプレートも穴の直径が大きい物を使用します。
大変高価ですが強度も高く、高重量のトレーニングにも対応可能です。
※安物だと強度が低いものもあるので注意
また横幅が大きいラックでも使用できるので心配いりません。
ただし長さが220㎝と長いため部屋によっては使い勝手が悪い可能性もあります。
※最近は少し短めのショートスリーブのものも出回っています
どちらのバーベルを選べば良いか
バーベルの選び方・チェックポイント
バーベルの選び方・チェックリスト
使用用途・タイプ
バーベルを選ぶ際の最も大切なポイントはまず自分がどんな目的でどのようなトレーニングをするかです。
使用方法や目的によって、どのようなバーベルが相応しいかは全然変わってきます。
目的別バーベルの選び方
- パワーリフティング(BIG3重視)
➞硬く撓りにくく強度が高いパワーリフティング用バーベル(29mm) - ウエイトリフティング(クイックリフト重視)
➞撓りもあるが強度も高いウエイトリフティング用バーベル(28mm) - バランス型(色んなトレーニングをやる)
➞中間の多目的バーベル(28.5mm)
同じように見えるバーベルでも実は用途によってタイプが分かれています。
自分の用途に合わないバーベルだと扱いにくいので注意しましょう。
重さ

オリンピックシャフトの場合は基本的に20kgです。
※例外もあるので事前によく確認しましょう
しかしスタンダードシャフトだと重さはまちまちです。
重さが20kgでなくともウエイトプレートやカラーで調節できますが、人によっては面倒だという人もいるでしょう。
面倒だという人は20kgのものが計算が分かりやすくて楽です。
全長

オリンピックシャフトの場合多くは220㎝ですが最近はショートスリーブバーといって180~190㎝程度のものも販売されています。

ショートスリーブバーはプレートを装着するスリーブ部分だけが短くなっており、シャフト部分は220㎝タイプと同等の長さです。

バーベルを使いたいけどホームジム用の部屋が狭くて無理!
という人にはこのようなショートスリーブバーがおすすめです。
ただしバンパープレートのような厚さのあるプレートと組み合わせると装着できる重量が少なくなるので注意しましょう。
かなり重い重量を使用するという人は220㎝の方が良いと思います。
スリーブ間(シャフト+インナーカラー)の長さ

スリーブ間(シャフト+インナーカラー)の長さは、各部位の長さ(シャフト・インナーカラー・スリーブ)の比率によって違いがあります。
※バーベルのスペックでのスリーブ間距離でのスリーブはスリーブ+インナースリーブとなり、ここでのスリーブ間の長さ(シャフト+インナーカラー)とは違うので注意してください。
爪先がプレートに付くか付かないかの超ワイドスタンスのスモウデッドリフトをやりたい人はスリーブ間(シャフト+インナーカラー)の長さに注意しましょう。
スリーブ間の長さが長いとスモウデッドリフトのスタンスがその分広くなり、短いとスタンスも狭くなります。

ちなみに国際大会でも使用されるエレイコのバーベルはスリーブ間の長さが短めです。
単純に長ければ良いというわけではなく、どこに合わせて練習するかが重要です。
またスリーブ間の長さ(シャフト+インナーカラー)が長くなるほどスリーブ部分が短くなり、装着できるプレートも少なくなります。
そしてプレートもより外側に装着することになるため、同重量を装着した場合、物理的によりバーベルが撓りやすくなります。
一方、スリーブ間の長さが短いと、スクワット等でラックやセーフティーにぶつかりやすくなってしまうというデメリットもあります。
ただしこれはプレートの内側にカラーを噛ませることで解決可能です。もしくはスペーサーも販売されているので使用することで容易に解決できます。
以下の「MBC パワー用オリンピックシャフトスペーサー」は穴が空いており、2個合わせて70gと軽量なので、重量計算の邪魔にもなりにくいのでとてもおすすめです。
まとめると、パワーリフターで超ワイドスタンスのスモウデッドリフトをやる人はスリーブ間の距離をどのバーベルに合わせるか決める(世界大会でも使用されるエレイコに合わせるのがおすすめです)。
使用重量がそこまで重くなく、超ワイドスタンスのスモウデッドリフトもやらないという人は気にしなくても良いです。
直径(太さ・硬さ・撓りやすさ・握りやすさ)

シャフトの太さ(直径)は主に28㎜、28.5㎜、29㎜のものがあります。

0.5~1㎜程度で違いがあるの?ほとんど同じでは?
と思われるかもしれませんが、かなり違います。
一般的に細いものは撓りやすく、太いものは撓りにくくなっています。
撓りはクイックリフトなどには最適ですがBIG3においては以下の様な影響があります。
BIG3におけるバーベルの撓りの影響※影響:高重量≧低重量
スクワット
- 担いでいるだけでバーベルが上下にグラグラ揺れてして安定しない
- ボトムでバウンドし切り返し等でフォームに変化が生じる
ベンチプレス
- 撓ることによりバーベルが胸から遠くなり可動域が広がりキツくなる
デッドリフト
- 撓りによりプレートが床から浮き始めるまで
※使用重量が重くなるほど影響が出ますが、軽ければ影響は少ないです
一方硬く撓りにくいものはBIG3には最適ですが、クイックリフトには適さないです。
28.5㎜はその中間に当たります。
※実際には同じ太さでも商品によって硬さ・撓りやすさは違うのでよく確認するようにしましょう
また実際にシャフトを握った際の感覚も結構違います。
意外と思うかもしれませんがシャフトの0.5〜1mmの差は大きいものです。
結論からすると、
- クイックリフトをガンガンやる(ウエイトリフターなど)
➞28㎜※女子では25㎜ - クイックリフトはやらずBIG3が中心(パワーリフターなど)
➞29㎜ - どっちもやりたい(一般トレーニーや他競技選手など)
➞28.5㎜
といった形になります。
基本的にウエイトリフターであれば28㎜、パワーリフターであれば29㎜で間違いありません。
予算に余裕があれば28㎜・29㎜両方購入しても良いでしょう。
ちなみに自宅でクイックリフトをやってバーベルを床に落とす場合は、それだけ床の強度が高くなければなりません。
振動や騒音も大きくなるので注意しましょう。
強度(耐荷重量と引張強度)

バーベルの「強度」は、トレーニングの安全性を確保し、長期的に製品を使い続けるための最も重要な性能の一つです。この強度を判断する上で、スペック表に記載される「耐荷重量」と、より専門的な「引張強度(PSI)」という2つの指標があります。
「耐荷重量」はあくまで参考に
多くの製品には「耐荷重量〇〇kg」といった表記がありますが、これは測定基準がメーカーによって異なるため、絶対的な指標とは言えません。より客観的にバーベルの材質そのものの性能を比較するためには、「引張強度」を確認することが不可欠です。
最重要指標「引張強度(PSI)」と耐久性の関係
「引張強度(PSI)」は、バーベルの素材がどれだけの力に耐えてから破断するかを示す数値です。この数値が高いほど、バーベルは「曲がり」に対して強くなります。
しかし、ここで非常に重要なのが、「強度」と「靭性(粘り強さ)」のバランスです。
金属は一般的に、強度を高めて硬くすると、粘り強さ(靭性)が失われ、衝撃に対して「もろく」なる傾向があります。硬すぎると、ガラスのようにパキッと折れてしまうイメージです。
トレーニング、特にバーベルを床に下ろすデッドリフトや、万が一の落下(ドロップ)では、バーベルに瞬間的な衝撃(動的応力)がかかります。この衝撃に耐えるためには、単に硬いだけでなく、衝撃を吸収する「粘り強さ(靭性)」が必要不可欠です。
耐久性の「スイートスポット」:190,000~220,000 PSI
研究や実績から、バーベルの耐久性は引張強度が190,000 PSIから220,000 PSIの範囲にある時に最もバランスが良くなるとされています。
- 190,000 PSI未満の場合:
素材が柔らかすぎるため、高重量を扱うと曲がったまま戻らない「永久変形」を起こしやすくなります。 - 190,000~220,000 PSIの範囲の場合:
高重量に耐える「強度」と、衝撃を吸収する「靭性」のバランスが最適化された領域です。これにより、曲がりにくく、かつ折れにくい、最も耐久性の高いバーベルとなります。 - 220,000 PSIを超える場合:
強度は非常に高いものの、素材が硬くなりすぎるため靭性が低下し、衝撃に対して「もろく」なる可能性があります。繰り返しのドロップなどによって、ある日突然破断するリスクが高まることが懸念されます。
まとめ:最適な強度のバーベルを選ぶために
安全で長く使えるバーベルを選ぶためには、「耐荷重量」だけでなく、必ず**「引張強度(PSI)」を確認しましょう。そして、単に数値が高いものを選ぶのではなく、耐久性のスイートスポットである「190,000~220,000 PSI」**の範囲に収まっている製品を選ぶことが、最も賢明な選択と言えます。
ご自身のトレーニングスタイル(パワーリフティングか、ウエイトリフティングかなど)も考慮しつつ、この最適な強度範囲を持つバーベルを選ぶことで、最高のパフォーマンスと安全性を両立させることができます。
グリップマーク

グリップマークとはシャフトの線(ローレット加工されていない部分)のことです。
一般的にウエイトリフティング用とパワーリフティング用、二重(両方)のグリップマークの3種類に分かれます。
グリップマークの種類
- ウエイトリフティング➞中心より45.5㎝
- パワーリフティング➞中心より40.5㎝
- 二重マーク➞上記両方

特にパワーリフティングのベンチプレスでは81㎝ラインがグリップの最大幅になり重要です。
ベンチプレス競技の練習用として考えている場合はパワーリフティング用か二重マークのものを購入するようにしましょう。
※ベンチプレスは81cmライン人差し指以上グリップを広げてはいけないというルールがありますがスクワット・デッドリフトはシャフト内であれば決まりはありません
ローレットの位置・幅

ローレットとはシャフトの滑り止めとなるギザギザした部分のことです。
ローレットはシャフト全体にあるわけではありません。
バーベルによって、どの位置にローレットがあるか異なるのです。
例えばシャフトの中心部分のローレットはあるものとないものに分かれます。

この中心ローレットがないとスクワットの際、担いだバーベルが滑り落ちやすくなります。
一方でクイックリフトで使用する場合は、センターローレットが胸に当たり痛いので無い方が良いケースもあります。
また、ローレット加工されている幅もバーベルによって差があります。
ローレット幅が狭いと、デッドリフトなどでバーベルを握る際、自分のちょうど良い手幅の位置にローレットがない場合があります。
そうするとツルツル下部分を握るか、手幅を広げなければなりません。
競技選手の場合はローレットの位置もスリーブ間の幅と同じで、何に合わせるかが重要です。
自分の手幅には合わないけど、大会で良く使用されるローレットの位置のバーベルを選ぶということも選択肢として考えても良いでしょう。
ローレットの強さ

ローレット(ナーリング)とは、シャフト表面に刻まれたギザギザの滑り止め加工のことです。このローレットの設計が、グリップの安定性、トレーニングの安全性、そして「握り心地」という日々の使用感までを決定づけます。
安価なバーベルと高品質なバーベルでは、このローレットの仕上がりに天と地ほどの差があります。自分に合わないローレットは、トレーニングの質を低下させるだけでなく、不要な痛みや怪我のリスクにも繋がります。
グリップ感を決める3つの代表的な「形状」
ローレットの特性は、主にその「形状」によって決まります。ここでは代表的な3つの形状を紹介します。それぞれの特徴を知ることで、あなたに最適な一本が明確になります。
項目 | ヒル型 (丸型/台形) | ボルケーノ型 (火山形) | マウンテン型 (ピラミッド型) |
---|---|---|---|
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エッジの形状 | 浅く丸みを帯びたエッジ | 適度な強さのエッジを4つ | 鋭いエッジを1つ |
グリップ力 | 低い | 高い | 最も高い |
皮膚への負担 | 低い | 中程度 | 最も高い |
主な用途 | 一般的なトレーニング | 競技用・多目的シャフト | パワーリフティング用シャフト |
その他の特性 | ソフトなグリップフィーリング | グリップ力と快適性のバランスが良い | 強いグリップだが皮膚への負担も大きい |
ヒル型(台形・丸型):
なだらかな丘のような形状で、当たりが非常にマイルドです。皮膚への負担が最も少ないですが、グリップ力は穏やかです。
ボルケーノ型(火山形):
マウンテン型の頂点を削り、中央をくぼませた火山の噴火口のような形状です。鋭い痛みはないのに、高いグリップ力を発揮するため、グリップ力と快適性のバランスが最も良いのが特徴です。近年の高品質なバーベルにおける主流となっています。
マウンテン型(ピラミッド型):
鋭く尖ったピラミッドのような形状で、最も攻撃的でシャープなグリップ感があります。皮膚への攻撃性も最も高く、やや玄人向けの仕様と言えます。
迷ったら「ボルケーノ型」
では、どのローレットを選べば良いのでしょうか。結論から言うと、特別なこだわりがなければ、「ボルケーノ型」のローレットを選んでおけば間違いありません。
BIG3の高重量を追求する本格派の方から、これからトレーニングを始める初心者の方まで、ボルケーノ型ローレットは、その優れたグリップ力と快適性のバランスで、あなたのトレーニングを力強くサポートしてくれます。
現代のバーベル選びにおいて、最も信頼でき、最も後悔の少ない選択肢と言えるでしょう。基本的にはこの「ボルケーノ型」を軸に製品を探すことをお勧めします。
シャフトの表面加工処理
バーベルに施される表面加工は多様で、その目的は長期間にわたって製品の品質を維持したり、グリップの感触を良くするためです。ただし、ホームジムでの使用を考慮すると、ジムでの集団利用とは異なり、過度に高度な表面処理を求める必要は必ずしもないかもしれません。それでも長期間利用することやメンテナンスの手間も考えると考慮すべき点です。
まずは以下に主要な表面加工および素材について提示します。
※以下MBCPOWER SHOPさんのページを参考に作成
表面処理/材質 | 耐腐食性 | 耐摩耗性 | 摩擦力 | ローレット |
---|---|---|---|---|
硬質クロムメッキ | ★★★ | ★★★★ | ★★ | ★★★ |
亜鉛メッキ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
ステンレス | ★★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★★★ |
ブラックオキサイド | ★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★★ |
セラミックコーティング | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★ |
リン酸マンガン | ★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★ |
ベアスチール | ★ | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
硬質クロムメッキ
- 耐錆び、耐摩耗性に優れる
- 美しい光沢を持つ
- ウェイトリフティングの競技用シャフトで広く採用されている
- 手触りが滑らかでグリップ感が弱い
- 安価な家庭用シャフトでは装飾クロムメッキと呼ばれる耐久性の低いクロムメッキが施されることがあり、これらは短期間で錆びやメッキ剥がれが発生する可能性がある
亜鉛メッキ
- 耐腐食性と摩擦力でクロムメッキを上回る
- 金属メッキの中で特に良好なグリップ感を持つ
- 耐摩耗性はクロムメッキに劣る
- 経年劣化による変色が避けられない
ステンレス
- 非常に高い耐腐食性を持つ
- 酸化皮膜を形成し錆びにくい
- ローレットのエッジが深く、グリップ感が優れている
- 価格が高い
ブラックオキサイド(黒染め加工)
- 手触りとローレットのエッジが良好
- 錆びやすく、傷がつきやすい
- 小まめな手入れが必要
セラミックコーティング(セラコート)
- 高い耐腐食性と耐摩耗性を持つ
- 摩擦力も強く、自由なカラーリングが可能
- 金属や硬い物と接触する部分のコーティングは剥がれやすい
リン酸マンガン(リューブライト)
- 良好なグリップ感を持つ
- 灰色がかった黒色の被膜が特徴
- 金属メッキと同等の耐腐食性や耐摩耗性を持つ
ベアスチール(コーティング無しの鋼鉄)
- 最も高い摩擦力と優れたグリップ感を持つ
- 錆びやすく、小まめな手入れや油分の塗布が必須
- 国際パワーリフティング連盟の世界大会は全てベアスチールのシャフトで行われている
以上の情報を踏まえて、ホームジム用途であれば、自分の使用環境や維持管理の手間、予算に応じて最適な表面加工または素材を選ぶことが重要です。
スリーブの表面加工処理
バーベルのスリーブ部分は、プレートとの摩擦や衝突を繰り返すため、シャフト部分とは異なる特性の表面処理が求められます。以下に、スリーブの表面処理の種類とその特徴について説明します。
※以下MBCPOWER SHOPさんのページを参考に作成
表面処理の種類 | 特性 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
クロムメッキ | 金属との摩擦や衝突に強く、滑りが良い | スタンダードで、着脱が容易 | シャフトと同じ処理では摩擦力が弱い |
亜鉛メッキ | 金属との摩擦や衝突に強く、滑りが良い | 耐腐食性が高く、サビに強い | やや摩耗が早く、経年劣化による変色がある |
セラミックコーティング | 耐摩耗性や耐腐食性が優れている | 金属メッキよりも優れた特性 | 金属との摩擦や衝突に対する耐久性が劣る |
ブラックオキサイド | 被膜が非常に薄い | – | サビに弱く、こまめなメンテナンスが必要 |
ステンレススチール | コーティング不要 | サビやコーティング剥がれの心配が無い | 価格が高い |
クロムメッキ
- スタンダードな表面処理で滑りが良い
- シャフト部分では摩擦力が弱いが、スリーブ部分では着脱の容易さがメリット
亜鉛メッキ
- 金属との摩擦や衝突に強く、滑りが良い
- 硬度はクロムメッキより低いが、耐腐食性が高くサビに強い
セラミックコーティング (セラコート)
- 耐摩耗性や耐腐食性が優れている
- 金属との摩擦や衝突に対する耐久性は金属メッキに劣る
ブラックオキサイド(黒染め)
- 被膜が非常に薄くサビに弱い
- こまめなメンテナンスが必要
ステンレススチール
- コーティング不要でサビやコーティング剥がれの心配が無い
- 価格が高い
スリーブの溝
バーベルのスリーブには「溝あり(スレッディングスリーブ)」と「溝なし」の2種類が主にあります。それぞれにはメリットとデメリットが存在し、自分のトレーニング環境やニーズによって選び方が異なります。
溝あり(スレッディングスリーブ)
スレッディングスリーブは、スリーブ部分に細かい溝が刻まれており、この特徴によってウェイトプレートの着脱が容易になります。特に、ヘビーなプレートを扱う際やパワーリフティング競技用プレートのように内径のクリアランスが小さく作られたプレートの取り扱いが容易になります。
特に、スレッディングスリーブと競技用バンパープレートを組み合わせると、二つの摩擦面に刻まれた溝が噛み合ってプレートがズレにくくなります。この組み合わせは、着脱時に独特の摩擦音や金属音を生じ、これによってプレートがズレた際に気付きやすく、安全性が高まるとされています。しかし一方でホームジムでの使用、特に賃貸のアパートやマンションでの使用においては、隣人に対する騒音問題となる可能性があるため、注意が必要です。
また、スレッディングスリーブと摩擦面に溝が刻まれていないコーティングプレートを組み合わせた場合、着脱音はほとんど生じません。騒音を極力抑えたい場合は、この組み合わせや、バンパープレートの穴の内側を磨く、あるいはスレッドの無いスリーブのバーベルを選ぶなどの対処が推奨されます。バンパープレートの穴の内側を磨くことで着脱音を小さくすることができ、200番から400番程度の中目の金属用耐水サンドペーパーが磨き用として推奨されています(MBCPOWER SHOPさん参照)。
溝なし
溝なしのスリーブは、音の発生が少ないのが一番の利点です。ただし、プレートの着脱はスレッディングスリーブに比べ少し手間取る場合があります。騒音が気になる環境や、静かにトレーニングを行いたい場合にはこのタイプが適しています。
以上の特性を考慮して、自分の住環境やトレーニングスタイルに合わせて最適なスリーブを選ぶことが重要です。特に賃貸物件でのホームジム設置を考えている場合は、音問題も重要な要素となるでしょう。それに応じて、溝ありか溝なしか、またはその他の特性を有するスリーブを選ぶことをお勧めします。
回転機構
オリンピックシャフトのスリーブは、単にプレートを装着する部分ではありません。その内部構造が、トレーニングのパフォーマンス、安全性、そして長期的な耐久性を大きく左右します。
スリーブを評価する上で重要な要素は、「①回転機構」と「②固定方法」の2つです。この2点を理解することで、あなたのトレーニングに最適な、後悔のない一本を選ぶことができます。
① 回転機構:パフォーマンスを決める「心臓部」
回転機構は、スリーブがシャフトの周りをスムーズに回転するための仕組みです。クイックリフトなどで手首を返す動作の際に、スリーブが回転しないと強い慣性が手首にかかり、怪我のリスクが高まります。この回転を担うのが「ブッシング」と「ベアリング」です。
回転機構のタイプと特徴
回転機構のタイプ | 主な特性 | 推奨されるトレーニング |
---|---|---|
ブッシング (ブロンズ/コッパー) | 高い耐久性と、制御された滑らかな回転 | パワーリフティング、BIG3、多目的 |
ニードルベアリング | 抵抗が極めて少なく、高速で滑らかな回転 | ウエイトリフティング、クイックリフト |
パワーリフティング用(ブッシングが主流)
BIG3のような、比較的ゆっくりとした動作では、スリーブが回転しすぎると逆にバーベルが不安定になることがあります。ブッシングがもたらす適度な回転抵抗は、ウエイトを安定させ、リフターが力を発揮しやすくさせます。高い耐久性も魅力です。
ウエイトリフティング用(ニードルベアリングが主流)
スナッチやクリーンなど、爆発的で素早い動作では、スリーブが瞬時に、かつ抵抗なく回転することが求められます。ニードルベアリングの非常に滑らかな高速回転は、リフターの手首への負担を最小限に抑え、スムーズなキャッチ動作を可能にします。
「回転が速いほど高性能」と考えるのは早計です。あなたのトレーニング目的に合った回転性能を持つバーベルを選ぶことが、パフォーマンス向上の鍵となります。
② 固定方法:長期的な信頼性を決める「留め具」
固定方法は、スリーブ全体をシャフトに固定している仕組みのことです。この部分の信頼性は、バーベルの耐久性と安全性に直結します。主に「スナップリング式」と「ボルト式」の2種類があります。
スナップリング式(Cリング式)
概要: スリーブの端にある溝に、C字型の強力なリングをはめ込んで固定する方式です。
見分け方: スリーブの末端を覗き込むと、C型のリングが見えます。
評価: 近年の高品質バーベルにおける標準仕様です。構造がシンプルで非常に堅牢なため、緩みやガタつきが起こる心配がほとんどありません。また、専用工具(スナップリングプライヤー)があれば分解・清掃といったメンテナンスが容易な点も大きなメリットです。長く安心して使えるバーベルを求めるなら、このスナップリング式を選ぶのが賢明です。
ボルト式(エンドキャップ式)
概要: シャフトの末端にボルトを直接ねじ込んでスリーブを固定する方式です。
見分け方: スリーブの末端中央に、六角レンチなどで回すためのボルトの頭が見えます。
評価: 比較的安価なバーベルに見られる方式です。この方式の**最大の懸念点は「緩み」**です。トレーニング中の振動でボルトが緩むと、スリーブがガタつき、異音や不安定さを生みます。最悪の場合、トレーニング中にスリーブが抜け落ちる危険性もゼロではありません。もしボルト式のバーベルを使用する場合は、定期的に緩みがないかを確認し、増し締めする習慣が不可欠です。
見るべきは「回転」と「固定」
最高のバーベルを選ぶためには、以下の2点を確認しましょう。
- 回転機構は自分の目的に合っているか? (BIG3中心ならブッシング、クイックリフト中心ならベアリングなど)
- 固定方法は信頼性の高いスナップリング式か?
この2つの視点を持つことで、パフォーマンスを高め、かつ安全に長く使い続けられる、あなたにとって本当の意味で「良いバーベル」を見つけ出すことができるはずです。
スリーブとシャフトのフィット感(静音性)
バーベルは製品によって静音性が変わります。
特にデッドリフトなどで床に下ろした時に出る「ガシャン」という音は結構うるさいです。
そしてこの「ガシャン」という音は、どこから出ているかというと、バーベルとプレートがぶつかり合う音だけではなく、バーベル単体からも出ています。
バーベルを横から覗き込むと、シャフトとスリーブ間に隙間があるのが分かります。実はこの隙間が広いとバーベルを下ろした時にシャフトとスリーブがぶつかる「ガシャン」という音が出ます。
このシャフトとスリーブ間のクリアランスは、製品によって違いがあります。多くの既存のバーベルはクリアランスが大きくなっており音も大きくなっています。しかし最近では製造精度が上がりクリアランスをタイトにすることで静音性を高くしたバーベルが増えてきています。
ホームジムでは静音性はとても重要事項となるので、できる限り優先的にシャフトとスリーブのフィット感が高く静音性が高いものを選択することをお勧めします。
既にバーベルシャフトをお持ちの方も、最近のバーベルに買い換えることをお勧めします。メーカーやシリーズが同じでも新しいものの方が、最新技術を採用して静音性が上がっている場合があります。メーカーのホームページなどを確認してみることをお勧めします。
おすすめバーベル
パワーリフティング・BIG3向けバーベル
ROGUE(ローグ)20KGオハイオパワーバー ステンレススチール
~IPF公認でパワーリフティング国際大会でも使用されるバーベル~

価格 | ◎ | 117,900(税込) |
使用用途 | ※ | パワーリフティング・BIG3 |
重量 | ◎ | 20kg |
全長 | ◎ | 220㎝ |
スリーブ間の長さ | ◎ | 131㎝ |
太さ | ※ | 29㎜ |
撓りにくさ | ◎ | 非常に撓りにくい |
耐荷重量 | ◎ | 500kg超 |
グリップマーク | ※ | パワーリフティング |
センターローレット | ◎ | あり |
滑りにくさ | ◎ | 非常に滑りにくい |
メリット
- エレイコと同サイズ
- 硬く撓りにくい
- ローレットが強く滑りにくい
- 品質が高い割にリーズナブル
- 静音性が高い
- 一生物
デメリット
- パワーリフティング・BIG3向けなので回転しにくくクイックリフトには向かない
- ローレットが強いため衣類や皮膚のダメージが大きいく慣れないと手も痛い
IPF認定品でパワーリフティング国際大会でも使用されるパワーリフティングバーベルです。
バーベルはスウェーデンのエレイコのものが最も世界大会で使用されていますが、このオハイオパワーバーはエレイコのバーベルと同サイズで作られています。
硬さ、撓りにくさ等も含めエレイコのバーベルに近くかなり高品質といえます。
そして何より、高品質でありながらエレイコよりもかなり安く購入できるので大変魅力的なバーベルです。
またステンレス製で錆びにくく湿度が高い日本での使用にも最適です。
しかも現在販売されているものは、以前よりもさらに高精度で作られているため、静音性も高くなっています。
ウエイトリフティング・クイックリフト向けバーベル
調査中
多目的型バーベル
調査中
ショートスリーブバーベル
GYMWAY(ジムウェイ)ショートスリーブパワーバー
~狭いホームジムでも扱いやすい上に耐荷重680kgを誇る本格的バーベル~

価格 | ◎◎ | 40,950円(税込) |
使用用途 | ※ | パワーリフティング・BIG3 |
重量 | ◎ | 16kg |
全長 | ◎ | 190㎝ |
スリーブ間の長さ | ◎ | 131㎝ |
太さ | ※ | 29㎜ |
撓りにくさ | ◎ | 撓りにくい |
耐荷重量 | ◎ | 680kg |
グリップマーク | ※ | パワーリフティング |
センターローレット | ◎ | あり |
滑りにくさ | ◎ | 滑りにくい |
メリット
- 短く狭いホームジムでも扱いやすい
- スリーブ間の長さは一般的なものと同じ
- 安い
- 安いけど品質がかなり高い
- 2kg2個セットのカラーと使用すればちょうど20kgで使用可能
デメリット
- スリーブ部分が短いためバンパープレートなどでは高重量が作りにくい
- 重量が16kgと中途半端なため計算が必要
スリーブ間の長さは131㎝と一般的なパワーリフティングバーベルと同じため、ワイドグリップベンチプレスやスモウデッドリフトは問題なく行うことができます。
また2kg2個セットのカラーも販売されているため、一緒に使用すれば重量計算も楽になります。
ただしスリーブ部分は短く作られているので、分厚いバンパープレートでは高重量を作りにくくなります。
とはいえ狭いホームジムにとっては救世主的な存在です。
自分の使用重量やプレートの厚みを確認の上購入すればとても良い商品です。
ちなみにもっと短い方が良いという場合は武器屋.netさんより182㎝のバーベルが販売されています。
ただし何度も言うように短すぎると高重量が作りにくくなるので事前によく確認することをおすすめします。
まとめ
バーベルの種類の選び方
- 強度が低くても良いからできるだけ安く済ませたい
➞スタンダードシャフト - 高重量のBIG3やクイックリフトなど本格的なトレーニングをやりたい
➞オリンピックシャフト
バーベルの選び方・チェックリスト
おすすめのバーベル


バーベルは一見どれも同じに見えて品質にも差がなさそうに思う方も多いと思いますが、実際はかなりの差があります。
バーベルはトレーニングをするときに実際に身体に触れる器具であるため、トレーニングフォームにも大きく影響します。
安易に安物を選んでしまうと、自分のレベルが上がってきたときに買い替える必要性も出てくるので注意しましょう。
FAQ
- 自分にはジム通いとホームジムどちらが合っているか考える
- ホームジムを作る上での注意事項を確認する
- 部屋がホームジムに適した構造・環境か確認する
- どのようなホームジムを作るか考える
- ホームジムのレイアウトを考える
- 器具を選定する
- ラックの種類と選び方
- ベンチの種類と選び方
- バーベルの種類と選び方 ☜当ページ
- ウエイトプレートの種類と選び方 ☜次のステップ
- ダンベルの種類と選び方
- その他ホームジムにあると便利なグッズ
- 必要に応じて床の補強を行う
- 器具を設置する
- 完成

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